80年代に入ると選挙のタイミングに合わせて全米で大掛かりなツアーを行い、反共和党、反レーガン、反ブッシュを、そして何よりも選挙人登録を訴え続けたザッパ。
生前の彼なら今回のオバマ圧勝のニュースを聞いて何と言っただろう。
矢野顕子/akiko

偶然、ラジオで耳にした新曲『変わるし』のあまりのカッコよさにしびれて、急遽手に入れた矢野顕子のニュー・アルバム。
彼女の作品は、20年ほど前まではわりとコンスタントに聴いていたのだけれど、だんだんと少し高踏的なところにが鼻につきだして、いつの間にか遠ざかってしまっていた。特に80年代に制作された作品は時代の変遷に伴う風化が著しく、今の耳で聴くとアレンジがずいぶん古臭くなってしまっていることも災いしたかもしれない。
しかし、今度の新曲は、そんな聴き手の勝手な思い込みをあっさりと覆すだけの斬新さと力強さを備えていた。
強力なシンコペーションで跳ね回る超重量級のドラムスと泥臭くブルージーなギター。そしてしなやかかつ強靭なタッチによって叩き出されるカラフルなピアノの響き。その上をひらひらと舞うヴォーカルは若々しさに溢れ、溌剌としている。
この突き抜けた感じは、76年のデビュー・アルバム『JAPANESE GIRL』以来のものと言っていい。
プロデュースを担当しているのは、あのT・ボーン・バーネット。ざわざわした空気感やローエンドまで伸びきった低域の充実ぶり、肉汁したたる分厚いステーキのようなドラムスの音など、アルバムのそこかしこにT・ボーンらしさを発見することができる。
しかしプロデューサーとしての最大の功績は、矢野顕子というきわめて特殊な才能を巧みにコントロールしつつ、その一番魅力的なところだけを取り出してクローズアップしてみせたことにあるだろう。矢野顕子本人もアルバム全体の制作進行は信頼できるパートナーにまかせ、自らはパフォーマーに徹することで、本来持っていた衝動や野性を存分に発揮することができたのではないだろうか。
オリジナル曲のグレードも高いが、レッド・ツェッペリンのカヴァー『Whole Lotta Love』が出色の出来映え。
例によって原曲のイメージをバラバラに解体し、暴力的なまでにアレンジを改変した過激な解釈が施されているが、その方法が驚くような効果を上げている。限られた音数だけで圧倒的なカオスを感じさせながら、しかも尚、どこか日本的な叙情さえ漂う唯一無二の世界。原曲で使われていたテルミンを意識したようなマーク・リボーのギターも凄い。間違いなく本作のベスト・トラックでしょう。
ドラムスを担当しているジェイ・ベルロウズが、インタビューに応えて本作の内容を“ソウル・ミュージック”と表現していた。至言だと思う。
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